京都山科の琵琶湖疎水のほとり、大文字山へ続く山の麓にある登録有形文化財「栗原邸(旧鶴巻鶴一邸)」です。
最寄り駅は京都市営地下鉄東西線「御陵駅」。天智天皇山科陵のある駅です。読み方は「みささぎ」。
御陵駅までは、京都駅からは、JR線で山科駅に向かい、東西線に乗り換えて2駅約15分です。
駅からは山に向かって坂道を10分。整然とした住宅街から、途中登山道のような趣の、小川が流れる細い道を行きます。
設計は、本野精吾。昭和4年(1929年)に、京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)の学長を務めた、鶴巻鶴一邸として建てられ、その後昭和16年(1941年)に日本最古の広告代理店の社長を務めた栗原伸に譲られ、戦後は進駐軍に接収され、将校の住宅として利用された歴史を持つ建物です。
外観はむき出しのコンクリート。建築家中村鎮の考案した、中村式鉄筋コンクリート(通称鎮ブロック)を用いています。
調べてみると、中村鎮は早稲田大学で佐藤功一に師事し、鎮ブロックは函館の宝来町にあった映画館「錦輝館」を皮切りに全国へ普及していったというから、函館のプレイリーハウス、葉山の旧足立邸(佐藤功一博士設計)と紹介してきたガレージ賃貸としては、なんとも不思議な縁を感じます。
鎮ブロックは、L字のコンクリートブロックを互い違いに組み合わせて作った中空部に、配筋しコンクリートを打つことで強度を高めた、鉄筋コンクリート造で、学長の鶴巻鶴一から依頼された本野精吾は、中村式鉄筋コンクリートで建てられた建物が、関東大震災で倒壊しなかったことに着目し、採用したようです。
室内は、染色家でもあった鶴巻鶴一のろうけつ染めの襖絵や、アールデコ風の照明や家具が残っています。
築85年を超える建物ながら、平成23年(2011年)から京都工芸繊維大学大学院の教育プログラムの一環として、屋上防水工事や、電気給排水設備の修復、室内の漆喰修復作業が継続的に行われていて、状態は良かったです。
モダニズム建築の保存に関する国際組織 DOCOMOMO Japan から、優れた日本のモダニズム建築として選定されていて、保存を前提とした活用で継承してくださる方を募集しています。
敷地面積:991平米
延床面積:393.83平米 (1階198.55平米 2階145.69平米 3階49.59平米)
地域地区:第一種低層住居専用地域
※京都市景観重要建造物または指定文化財に指定し、継承してくださる方に限ります
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栗原邸 登録有形文化財 御陵駅 京都 山科 大岩 琵琶湖疎水
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