昭和17年から王子製紙の社長を、昭和32年から日本商工会議所の会頭を務めた、実業家足立正(明16-昭48)の別邸として、昭和8年7月に建築家佐藤功一(明11-昭16)の設計で建てられた、三州瓦葺の屋根にハーフティンバーの外観を持つ、和洋折衷の木造2階建て住宅です。ガレージ賃貸番外編の売却戸建です。
門から玄関までは広い前庭があり、桜やサルスベリといった背の高い木々の間を縫うように、砂利の小路がひかれています。青い空を背景に、緑の隙間から徐々に顔を出す赤い三角の瓦屋根と真っ白な壁に心惹かれます。
大きな建物でありながら木々に埋もれるように建ち、歩を進めるごとに、ちょっとずつ姿を現す奥ゆかしさがいいですね。敷地いっぱいの建物が増えた現代では、町にとっても価値のある貴重な建物です。
外観はハーフティンバー様式で、壁には、当時王子製紙が開発した、防音・調湿効果の高いとされる繊維板の「トマテックス」が使われています。
間取りは北側に女中室や台所・浴室・便所、南に応接室・食堂・居間を配した中廊下型住居。間取り図を見ていると、なんとなく山田醇の住宅が思い起こされます。そういえば、南向きで西に約6度振れている配置は、山田醇の言っていた「1年中を通じて最も理想的な日当たりの家」です。
佐藤功一と山田醇は、同時期の建築家で、どこかで交流があり、住宅について話し合う機会があったのかもしれません。
陽当たりや風通しのよい間取りや、建物前にぽっかり空いた芝生広場、2階に4間取られた児女室など、子ども達と一緒に健康的で静かな余暇が過ごせそうな建物です。
現オーナーも、小さい頃にお父様と一緒にバーベキューをしたりと、家族の思い出をたくさん作ってくれたとおっしゃっていました。
佐藤功一は、早稲田大学講堂や日比谷公会堂を設計した建築家で、早稲田大学建築学科の創設者。作品としては庁舎建築が多いのですが、どのような縁で設計に関わったのかは分かりませんが、毎年葉山に避暑に行っていたといいますし、その辺りを想像してみるのも楽しいですね。
戦後米軍に接収され、解除後に現オーナーのお父様が購入されたそうです。接収住宅は、壁や柱がペンキでカラフルに塗られてしまったとの話をよく聞きますが、旧足立邸はそういったことが無く、一部に柱を切ってバーカウンターが造られていたようですが、ほぼ竣工当時の姿を残しています。
外壁を塗り直したり屋根瓦を一部葺き替えたり、浴室を入れ替えたり、維持管理に関わることは、現オーナーが本来の姿を壊さないように手を入れていますので、状態は良好です。
照明やステンドグラス、暖炉、建具類はすべて当時のままです。各室には台所につながる呼び鈴や、配膳窓、電話室など、建築としての価値はもちろん、当時の生活を知る上での貴重な資料としての価値もあります。
建物や庭の風情を、そのまま維持していただける方を募集します。
弊社のブログにも他の写真や詳細を掲載しておりますのでご覧ください。
こちらです→ぶっさん考論「葉山にある佐藤功一博士設計の住宅遺産 旧足立正別邸」
※別に2階建ての木造倉庫(母屋建築前にあった建物を曳家したもの)68.58平米があります。
※敷地面積は1,696.22平米
※建物瑕疵担保免責
※歴史的な建築物ですので、オーナー様は、建物の維持管理や利用方法について、きちんとしたヴィジョンのある方を希望しています。
※間取りは、現地で書き取りの上作成したものです。現況と異なる場合もあります。
※所有者居住中ですので、興味本位のみのご内覧はお断りさせていただいております。
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歴史的建造物 葉山 横須賀線
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